Shopifyの旧リターンAPIの廃止とリターン管理の改善

1. 技術的課題の定義

Shopifyのリターン管理に関するAPIは、これまで「returnRefund」や「Return.suggestedReturnRefund」などのミューテーションとフィールドを通じてリターン処理を行っていましたが、これらの旧APIは今後廃止され、新しく「returnProcess」や「Return.suggestedFinancialOutcome」などのAPIが提供されることが予定されています。

2. 現状の技術スタックと問題分析

現状のAPIでは、リターンのライフサイクル管理が複数の呼び出しに分散しており、取り扱いが複雑でした。また、交換品の注文処理の正確性の保証や、リターンされたラインアイテムの管理においても精度が求められていました。

3. 技術的ソリューションの提案

これらの課題を解決するために、Shopifyではリターンのライフサイクル管理を一つの呼び出しで行える「returnProcess」ミューテーションと、より詳細なリターン処理を可能にする「Return.suggestedFinancialOutcome」フィールドが導入されました。これにより、リターン管理のシンプル化と精度向上が期待できます。

4. 実装手順とコード例

旧APIから新APIへの移行は以下の手順で行います。


// 旧API
returnCreate
returnApproveRequest
returnRefund
Return.suggestedRefund

// 新API
returnProcess
Return.suggestedFinancialOutcome

新API「returnProcess」を使ってリファンドやエクスチェンジを処理する方法は以下の通りです。


mutation {
  returnProcess(
    id: "gid://shopify/Return/12345",
    input: {
      approved: true,
      refundInput: {
        amount: "10.0",
        reason: ReturnRefundReason.CustomerChangedMind
      }
    }
  ) {
    return {
      id
    }
    userErrors {
      field
      message
    }
  }
}

5. パフォーマンス・コスト分析

新APIの導入により、リターン処理のAPI呼び出し数が大幅に削減され、システムのパフォーマンス向上とコスト削減が期待できます。また、より正確なリターン処理によりユーザーサポートの負担も軽減されるでしょう。

6. 実装時の注意点・ベストプラクティス

旧APIはすでに廃止が予告されていますので、新APIへの移行は早めに行いましょう。なお、新APIは現在「unstable」APIバージョンで使用可能で、正式にはAPIバージョン「2025-07」でリリースされます。

参考記事: Deprecation of legacy return APIs and improvements to return management

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