在庫調整と返金変更に対する冪等性の追加

1. 技術的課題の定義と現状分析

Shopifyの在庫調整や返金処理において、ネットワークの問題やタイムアウトにより、同じリクエストが繰り返し行われると、重複した操作が発生し、在庫の不整合や重複した返金といった問題が生じる可能性があります。これは、ECサイトの運営において重大な問題を引き起こす可能性があるため、これを防ぐためのソリューションが求められています。

2. 具体的な技術的ソリューションの提案

Shopifyではこの問題を解決するために、在庫や返金に関する複数の変更に対して冪等性キーを導入しました。冪等性キーとは、一度だけ操作を行い、その後同じ操作を行っても結果が変わらないという特性を持つキーのことです。これにより、同じリクエストが繰り返されても、Shopifyはそれを重複と認識し、在庫の調整や返金の作成が一度だけ行われるようになります。

3. 実装手順とコード例

冪等性キーは、変更リクエストを行う際に提供する一意の識別子で、UUIDが推奨されます。以下に具体的な使用例を示します。


mutation {
    inventoryAdjustQuantities(
      input: {
        reason: "restock"
        name: "available"
        changes: [{
          delta: 5
          inventoryItemId: "gid://shopify/InventoryItem/123"
          locationId: "gid://shopify/Location/456"
        }]
      }
    ) @idempotent(key: "4f5b6ebf-143c-4da5-8d0f-fb8553bfd85d") {
      inventoryAdjustmentGroup {
        id
      }
      userErrors {
        code
        message
      }
    }
  }

4. パフォーマンス・コスト分析

冪等性キーの導入により、ネットワークエラーやタイムアウトの影響を受けにくくなり、安定した操作が可能となります。これにより、在庫の不整合や重複した返金といった問題を防ぐことで、運用コストを下げる効果が期待できます。

5. 実装時の注意点・ベストプラクティス

冪等性キーは現時点では任意で使用できますが、2026-04のバージョンからは必須となる予定です。また、同じ冪等性キーを異なるパラメータで使用した場合や、同じキーのリクエストが並行して処理されている場合にはエラーが発生しますので注意が必要です。

6. 次のステップ・発展案

冪等性キーの導入により、安定した在庫調整や返金処理が可能となりますが、これを活用した様々な機能の開発や、さらなる安定性・信頼性の向上を目指すことが次のステップとなります。

参考記事: Adding idempotency for inventory adjustments and refund mutations